現役パティシエと学ぶ、お菓子の歴史

ヨーロッパを中心にお菓子の誕生から現在まで、その背景も一緒に学んでいきましょう。

「砂糖」 ②

 

 では、前回のつづきです。「砂糖」の普及について~

 

 4~5世紀末、この頃にヨーロッパでは長く続いたローマ帝国が分裂し、現在のフランスの元になるフランク王国などが出来あがってきました。しかしなお、砂糖はまだ高価なものであり、庶民どころか貴族の間でも手に入りにくい希少なものでした。

 変化が訪れるのは10世紀頃、イタリアにベネツィアの町ができ、ヨーロッパの船貿易の先駆けの場になりました。水上に立った倉庫には、中東やインドからやって来た沢山の品物が保管されたのです。そこで966年、ヴェネチア商人はアラブ人の真似をして、クレタ島に製糖所を建てます。このことが、イタリアのお菓子の発達に少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

 しかしこの製糖所だけでは、ヨーロッパ全土は賄えません。その後1099年、十字軍がイエルサレムを占領すると、砂糖に飢えていたヨーロッパの王侯貴族が殺到することになります。彼らは砂糖で富を築きたいと考えている者がほとんどで、持ち帰られた砂糖は、薬やスパイスとして高値で取引されました。

 

 そして決定的出来事が15世紀末、大航海時代の到来です。アメリカ大陸が発見され、ヨーロッパの気候では難しかった作物の栽培が、新大陸の植民地で始まります。ジェノバの商人コロンブスが、現在のドミニカ共和国のサンドミンゴにサトウキビを持ち込むと、瞬く間にヨーロッパに砂糖が広がりました。そして病人にも貴族にも食べきれない流通量に、高騰していたその価格も暴落するのです。ついに砂糖が庶民のものになったのです。

 

 このように見ると、長い歴史の中でも砂糖が実際にお菓子や料理に多用され始めたのは比較的近代のように思われます。その背景には、十字軍に侵略された中東の人々や、新大陸で奴隷として働かされた人々の存在があったことを忘れてはいけません。

 普段、当たり前に使っている材料も、長い歴史のタマモノなのだと、改めて大切にしなければいけませんね!

 

 さて、では砂糖の広がりによってどの様なお菓子が出来上がったのか、次回はいよいよお菓子に着目して書きたい思います・・・

 

 

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