「小麦粉」 ②
移転しました。
約3秒後に自動的にリダイレクトします。
では前回の続き、「小麦粉」を使用したお菓子の誕生について~
私は小麦粉を使用したお菓子の誕生は
“お菓子の誕生”
とも言える出来事だと思っています。
しかし、これを説明するのはとても難しいことです。
なぜならこの事について考えようとすると二つの問題に行き当たるからです。
まず、お菓子づくりに関する最初の記述が古すぎて伝説の範囲であるという事と、そもそもお菓子とは何か、という事です。これらの問題の答えは曖昧です。
お菓子づくりに関して書かれた最初の記述は紀元前1000年頃、旧約聖書にあり、アブラハムが聖人をもてなす為に妻に「小麦粉をこねてパン菓子を作りなさい」と言っているものです。聖書の中の設定では、これは前2000年代のこととされていて、小麦粉以外の材料や作り方は分かりませんが何か日常のパンとは違う、贅沢なもの、“お菓子”だった事が分かります。
では、“お菓子”とは何なのでしょうか。もちろん当時は、現在の様にキャラメルやチョコレート、クリームなども到底生まれていません。
人が生きるために何かを食べ、生食が困難なものをなんとか加工し、パンを焼いたその後に、味が良くなるように、貴重な何か、例えば油分や糖分を少し加えて誕生したとっておきの食べ物、それが“お菓子”なのだと私は考えています。お菓子も元々は日常の食事だった、だからその境界線は今なお曖昧なのです。
誕生したばかりの贅沢品は、主に神への供物品にされる他、婚礼の儀式などで食べられました。しかしそれはやはり、現代菓子とは比べ物にならない程に質素なものだった事でしょう。
今でもお菓子が特別な食べ物であることは変わりませんが、私はお菓子は食事の中のひとつであるとよく考えます。なんでも美味しいものが手に入りやすくなった現代ですが、一方世界的な材料不足も言われています。
お菓子の歴史を勉強することは、同時に、お菓子の今を考えると言うことではないのでしょうか・・・
こちらはルーブル美術館の“古代のパン職人”