「ノルウェー風オムレツ ~オムレットノルヴェジエンヌ~」
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Bonjour a tous!
ご無沙汰しております。
今回のテーマは、最近、職場の秋のメニュー替えで作り始めた、ノルウェー風オムレツ、
『オムレットノルヴェジエンヌ』
恥ずかしながら、私はこのお菓子、今になるまでお菓子に関する歴史の本の中で読んだことしかなく、一体どういうお菓子なのか、なぜノルウェー風なのか、知りませんでした。まだまだ日本でもマイナーなお菓子だと思うので、その誕生についても触れながら紹介していきたいと思います。
まず始めに、オムレツと言ってもこれは卵焼きではなく、アイスクリームとビスキュイアラキュイエール(スポンジ生地)をメレンゲで覆い、それを高温のオーヴンで焼き色をつけ、更に食べる直前で、アルコールをかけ、フランベして供するデセールです。
生みの親は、1867年、パリのグランホテルで料理長を務めていたシェフバルザック。(小説家ではありませんよ^^!)バルザック料理長は、その年、パリで開催される万国博覧会のために、何かに科学的なデザートを作ろうと思いつきました。そして、熱力学、特に空気の断熱性の研究で有名な、アメリカの研究者、ベンジャミン・トンプソンに着想を得て、外はアツアツ、中はアイスクリームが冷たいままの、このデザートを発明したのです。ちょうど、空気を沢山含んだメレンゲが断熱材の役割を果たしているという事ですね!そして余談ですが、このベンジャミン・トンプソンと言う研究者は料理にも関心があり、貧しい人々のために、限られたエネルギーで最大限の熱効率の調理ができる窯の開発や、効率的な栄養の取れるメニューを開発したりしていたそうなんです...まさに私の尊敬する理想の研究者像ですね....!
さて、では肝心の「ノルウェー風」。これは一体どこから来たのか。
筆者はベンジャミン・トンプソンがノルウェーに縁があったのではないかと、調べてみたのですが、アメリカ、ドイツ、フランスと移住こそすれ、ノルウェーに関しての記述は見つけられませんでした。
そう、これは結論から言って、バルザック料理長の間違い。現代のフランス料理史研究家のマグロンヌ・トゥーサンサマも、その著書「お菓子の歴史」の中のバルザックのノルウェー風オムレツの項で、《フランス人は概して地理に無頓着なようである。》と書いています。
なんだそれはー!拍子抜けしてしまいますが、お菓子の歴史には割合適当なことも多いのです。それが私には面白くもありますが…
タルトタタンの有名な話も作り話だとか…?これはまた別の回で書きましょう。
さて、この今ではすっかりクラシックになったデセール。本当にフランベして出てくるオムレットノルヴェジエンヌが食べられるレストランも少なくなってしまっているのですが、私はこれは比較的家庭でも作りやすいデセールだと思っています。家庭の場合、アイスクリームやビスキュイなどは買って来たものでいいのです。元祖オムレットノルヴェジエンヌはバニラアイスクリームでしたが、チョコレートやフルーツのアイスクリームでも良いでしょう。フランベもしなくても良いですが、もしするなら、ラムやキルシュ、ブランデーなどがお薦めです。
ぜひ、一度、自分好みのオムレットノルヴェジエンヌを作って、家族や友人とノスタルジーな雰囲気をシェアしてみてはいかがでしょうか。
Omelette norvégienne et du raisin mariné à la balsamique
それでは!
A bientôt ;) !!