現役パティシエと学ぶ、お菓子の歴史

ヨーロッパを中心にお菓子の誕生から現在まで、その背景も一緒に学んでいきましょう。

「カニストレリ」 焼き菓子

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カニストレリ

 

最近初めて知ったお菓子です。

 

なんでも地中海、コルシカ島のお菓子だそうです。バターは使用しておらず、さすが南仏、代わりにオリーブオイルを使用しています。

その為、ちんすこうのような少し硬めの歯応えがあり(ちんすこうはラードを使用)砂糖をまぶして焼き上げる為、どこかメロンパンの表面を思い出させる食感でした。

 

そしてもう一つ大きな特徴は、レモンの皮が入っているところでした。コルシカ島では、レモンや、それに似た柑橘類の“セドラ”などが取れ、揚げ菓子などにもその皮やコンフィなどがよく使われます。 

 

袋を開けた瞬間、ふわっと香るオリーブとレモン。

購入したのは私の地元、高知県のパティスリー、「NEGRITAネグリタ」さんです。

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子どもの頃は、pâtisserie française なんて高知にはなかったので驚きました。サントノーレやフォレノワールなど、クラシックなケーキも置いてあります。飛行機に乗らなくても、フランスのお味が身近なところで楽しめると言うのは、とても嬉しい事です。

 

もし、高知県を旅行される方がいれば是非、訪れてみて下さい…

 

 

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パティスリーネグリタの“サントノーレキャラメル”

 

 

 

「ビスキュイ」 ②

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明けましておめでとうございます!

今年も途切れ途切れながら、このブログをアップし続ける事を一つの目標にしていきたいと思います!どうぞよろしくお願い致します。

 

 

少し日が空いてしまいましたが、前回の続きです。

 

クリスマスやお正月、皆さん、どのようなお菓子やケーキを食べたのでしょうか。

 

クリスマス前、輸入食料品店カルディコーヒーで購入したデンマーク産のビスケット缶。

綺麗なパッケージに惹かれて300、400円くらいだったでしょうか?ついつい購入してしまいました。

 

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またお正月、帰省する際の手土産に大好きなパティスリーRyouraの缶入りサブレアソルティを購入しました。

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優しいカラーのロゴが可愛いらしい缶々です。

 

今回のテーマはこのビスケットを入れている缶についてです。

 

人々がビスケットをこの様な缶に入れ始めたのは19世紀初めの頃。ギフト缶を初めに販売したのは、イギリスのHuntley & Palmersと言う会社だそうです。18世紀半ばからイギリスで起こった産業革命により、ビスケットにも大量生産化が起こり、その物流の為に使用していた大きな缶を、次第に小型化、そして販売向けに装飾を施したのが始まりでした。

 

ビスケットが大々的に商品として販売され、何処でも手に入るようになるまでは、どの家庭でも当たり前のように、特に母親がその家オリジナルのレシピでビスケットを焼いていたものでした。またそれは娘にも受け継がれ、美味しいビスケットが焼けると言うことは一つ結婚しゆく女性の必須条件の様なところがあったようです。そうして焼かれたビスケットは缶ができるまでは、樽などに入れて保存されていました。

 

また悲しい話ではありますが、1914年、第一次世界大戦が始まると、当然の事ながら民衆の食生活は圧迫されるようになりました。特に卵やバター、砂糖など、贅沢なものはなかなか手に入らなくなります。そんな中、女性達は、戦場に赴く夫や息子に、なんとか甘いものを食べさせてやりたいと願い、ある材料で工夫しながらビスケットを焼き、缶に入れて手紙と共に戦場へ送ったと言われています。

 

今は何処でもいつでも手に入るビスケット缶。いつの間にか空缶が増えて処分するしかなくなってしまうのですが、こんな風に少しだけ、歴史に想いを馳せながら選んでみれば、お気に入りの愛着が湧くビスケット缶に出会えるのでは無いでしょうか。そして大切な人にプレゼントしてみてはいかがでしょう…

 

 

 

 

「ビスキュイ」 ①

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ビスキュイについてです。

 

この言葉は、16世紀までさかのぼると、元々“bescuit” =二度焼く  と言う言葉で使われていました。

最初は、貧しい人々や巡礼に配る為に修道院が作っていた二度焼きしたパンの事でした。

 

そのうち、小さくて丸い、両面を焼いて石のように硬くて、日持ちのする焼き菓子を考えつきます。これは現代のビスコット、“ラスク”の先祖で、兵士や長旅に出る人の必需品でした。

 

ですが17世紀ごろから、パウンドケーキやスポンジケーキの様な物もビスキュイと呼ばれるようになりました。理由は分かりません…

 

確かに現代でもお菓子業界では、ケーキのパーツであるしっとりとしたスポンジ生地を、ビスキュイと呼ぶ事が多いと思います。けれどもまた、元々の意味のように、完全に乾いた“フールセック”、サブレ、ビスケットと呼ばれる物たちもまた「ビスキュイ」であることは確かなのです。

 

こちらはフランス土産のビスケット缶です!

 

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左上に“Biscuitier”=ビスキュイ職人 と書いてあります。柄が可愛くて、中身がなくなった今もお茶の葉入れとして使っています…

 

可愛い柄が多いビスケット缶。

私の様に捨てられず、集めている方もいるのではないでしょうか。

次回はこのビスケット缶にまつわるお話を書きたいと思います。

 

 

 

「シュトーレン」  発酵菓子②

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発酵菓子の第二弾はこちら、

 

「Stollen」- シュトーレン -

 

発祥は14世紀のドイツとされ、これはドイツ語です。

フランス人に聞いても知らない人が結構いて、はじめは驚きました。

日持ちがするので、少しずつスライスして食べてクリスマスを待つのが本来の習わしとされる、この時期にぴったりのお菓子です。

赤ん坊のイエス・キリストのおくるみ姿を表した白い生地の中には、ドライフルーツやナッツ、スパイスを練りこまれ、時には棒状のマジパンが包まれている事もあります。

 

近年では日本でもかなり広まって、パティスリーやブーランジュリーだけでなく、スーパーやコンビニなどでも見かけるようになり、ついに先日はアメリカンな(?)コーヒーショップのスターバックスで販売されているものに出くわしました。

 

それがこちら

 

 

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発酵生地ではなく、パウンドケーキのような食感で、クランベリーが多く混ぜ込まれているところにスタバ感を感じました。

私が思い描くシュトーレンらしさはないなと思いましたが、コーヒーにはよく合うお味でした。

 

そして、私が個人的に好きなのはこちら!

 

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世田谷区用賀のパティスリー リョウラの シュトーレン アルザシアン”

 

フランスでも、ドイツに近いアルザス地方にはアルザス風のドイツフランス菓子があるんです。断面を取り忘れたのが悔やまれますが、表面が薄い皮(クラスト)に覆われていて、なんともいえず揚げパンのようで美味しいのです。

これを食べたアルザス出身のフランス人も、「アルザスの味がする!」と言っていました。

 

また他にも、現地ではチーズ入りのシュトーレンなど、お店によってかなりのバリエがあるようです。

日本でもお気に入りの美味しいシュトーレンや、変わり種があれば、コメント欄にてぜひ情報おまちしております・・・

 

「アントナン・カレーム」  ①

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お菓子に少し詳しい人なら、この名前を聞いたことがあるかもしれません。

製菓学校を卒業している人は更にでしょう。

 

 

本名は「マリー=アントワーヌ・カレーム」

 

いや、本当は捨てられた子が、自らこの名前を名乗ったというので、本当のホントは分かりません。

 

 

 

彼をひとことで表すとすれば、お菓子の世界のレオナルド・ダヴィンチ。

天才的な発明家、画家であり建築家であり、執筆者でもありました。

 

彼については語りつくすことが難しいと思うので、時間をかけて少しずつ勉強していきたいと思います。

また、これは私のひとつの夢なのですが、彼の書いた原書を、いつかフランス語で読んでみたいです・・・・

 

 

まず、彼が発明したもの、お菓子の絞り器や、料理人がかぶる山高帽。

小さなパーツを組み立てた大きな細工菓子のピエス・モンテ。

 

 

 

詳しくは、また次回・・・・!

 

 

 

「プティフール」  

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「プティ・フール」

 

ざっくり言うと、一口サイズの小さいお菓子の事です。

17世紀頃、この言葉が生まれる前に“フリアンディーズ”とも呼ばれていたのは、元々“フリアン”が美食家や特に甘いもの好きの人々を意味していたからでした。

フリアンディーズはその後、現代にも使用される、“グルマンディーズ”という言葉にとって代わられます。

 

そして、「プティ・フール petit four」=(小さい窯) の呼び名の由来は、温度調整の難しい昔の石窯で、肉などを強火(グラン・フーgrand feu)で焼いた後の弱火(プティ・フーpetit feu)で、魚やお菓子などのデリケートなものを焼いていたところから来ています。

プティ・フールには大きく二つの種類があって、焼き菓子のプティフール・セックや、一口サイズに作られた生菓子のプティフール・フレ(またはプティ・フールグラッセ)があります。

 

また、ビュッフエ、ランチ、カクテルパーティなどで出されたり、フランス料理のコースでデセールとともに提供される「プティ・フール」ですが、似たような言葉で、“ミニャルディーズ”という言葉もあります。前者に比べて、後者の方がデリケートなデザートのようなイメージがありますが、どちらも詰め合わせにして手土産になることもしばしばです。

「ミニャルディーズ mignardises」は、フランスの古典主義画家で愛くるしいものを多く描いたピエール・ミニャールの名前が語源です。

 

 

 

 

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 こちらは、どちらかというとコンフィズリーになりますが、

尾山台“オー・ボン・ヴュー・タン”のショーケース。

色鮮やかです・・・!

 

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そしてこちらは、青山で最近話題のミニャルディーズ専門店

“アン・グラン” のプチガトー

フランボワーズの大きさを見て頂くとわかると思いますが、ひとつひとつがとても小さいのです。

それでも、どれも中までしっかり作りこまれていて、普通サイズのガトーと考えても何ら劣らない細かさでした。

 

通常のサイズのガトーの仕上げでも大変ですが、更に細かい職人の技には頭が下がります。伝統的なプティ・フールやコンフィズリー、ボンボンショコラなどは、並べているパティスリーは都内にもいくつかありますが、それらは見ているだけでもとてもワクワクします。

 

日常生活ではあまり注目しないサイズのお菓子たちですが、ぜひ機会があれば試してみてはいかがでしょうか・・・

Comme les francais

 

 

「乳製品」  ①

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ご無沙汰しております。

 

今回は乳製品の誕生について書きたいと思います。

 

前回の記事とつながりが無くて申し訳ありません・・・

勝手ですが、今突然、仕事をしている中で急に出てきた関心や、気になっているお菓子から、気まぐれに書いていこうと思います。

それでも飽きずに覗いていただけると幸いです。

 

さて、乳の加工食品がいつごろから存在していたかというと、それには、はっきりとした証拠はありませんが、おそらく紀元前3000年より以前にはバターとチーズが存在していたと言われています。

なんでも、メソポタミアシュメール人が、会計簿をつけていたことから分かったそうです。

 

そして当時、その原料となっていたのは、おもに羊や山羊の乳でした。

牛も家畜として存在はしていましたが、古代の牛の原種は大型で獰猛であったため扱いづらく、なかなか普及しなかったのです。

 

私はまだ食べたことがありませんが、羊のバターは白くて脂肪分が高く、ロックフォールチーズのような味がするそうです。対して山羊の乳からはバターは作れず、もっぱらチーズに加工されるそうです。山羊チーズには、有名なシェーブルチーズや、ナポレオンの故郷のコルシカ島の名産、ブロッチュチーズ(ブロッチョオ)などがあります。地中海付近には、今もメソポタミアの文化が残っているようです。

 

バターを保存する設備のない当時は、お菓子作りにも、バターよりラードや植物性の油、そしてチーズなどもよく使われました。

 

次回はそんなお菓子も少し紹介したいと思います・・・

 

いつもの材料をお得に購入(cotta)